初めに
今回はいつもと趣向を変えていきたいと思います。最近、現役のとあるアニメ制作のデスクの方にお話を聞くことができたのでその時の内容を共有できればと思います。その方は(これ以降はAさんと呼びます)現在5年ほどアニメ制作に携わり、制作進行から制作デスクとしてステップアップをなされています。また、現在は最初にいたところを退社して他のアニメ制作会社で働いているそうです。※あくまでAさんの事例なので他のアニメ制作会社と全部一致しているわけではないというのはご理解ください。
制作進行の仕事とは?
制作進行の仕事はアニメ制作を円滑に行うために1話単位でのスケジュールの管理や調整を行う人です。大雑把に言うと1:スケジュールの管理、2:スタッフを集める、3:上がった原画の回収&チェックが仕事ですね。最近では3:原画の回収の部分が車での回収から、デジタル化によりインターネット上でやりとりができるところも増えているそうです。Aさんは2:スタッフを集めることについて詳しく話をしてくださいました。スタッフを集めるために先輩の人脈、Twitter、アニメのクレジットを見て直接電話など制作進行はアニメーターに営業をする仕事でもあると仰っていました。アニメーターさんは基本的に色んな作品を掛け持ちしているので自分の作品が後回しにならないようにスケジュールを調整したり機嫌を損なわないようにしたりと人間関係の構築など様々な工夫をなさっているそうです。それ以外の方法としては同じ業界の人たちと飲み会を開催して情報を共有したり、自分の趣味から営業に持っていったりなど様々な方法を取ったりするそうですがやはりアニメーター不足は否めないようです。
制作進行に必要なスキルは?
制作進行ではよくコミュニケーションが大事だと言われますがAさんはコミュニケーション能力というよりも相手のことを理解して言葉で伝えるというのができれば十分と仰っていました。制作進行というのはたくさんの人と関わります。その中でもクリエイターは個性が強い人が多いのでその人にあった接し方というのが大事だそうです。また、最近はコロナウイルスで在宅での仕事が増えたそうなので、インターネットで情報を共有するアプリ(discordやzoomやmicrosoft系)などは使えるようになっておいたほうがいいとのことです。そして、photoshopを使った簡単な作業なども行っているので学生のうちからやっておくと他の人との差別化が図れそうです。制作で使うソフトがClip Studio, photoshop, After Effects, Premium Proなどをadobe系のソフトが多いので学生のうちは割引が効くので一度は触って見たほうがいいと仰っていました。また、After Effectsは演出やディレクター、撮影関係の方が特に利用するらしいのである程度知識があるとスムーズに打ち合わせができるし、制作進行から演出や撮影へのステップアップのきっかけにもなるかもしれないですね。
そして、Aさんなりのアニメ業界で出世する秘訣を教えていただきました。それは自分がどのようにキャリアアップをしていくのかを考えること+自分のストロングポイントを見つけることだそうです。自分の将来像を決めおくことで日々の仕事から理想のキャリアを想定して逆算して行動にできようになるそうです。また、日々の仕事から自分が得意なことを見つけることでやりがいも感じれるそうです。
アニメ業界の向き合い方
Aさんが働く上で大切していることをお聞きしました。それは人によって熱量が違うというのを理解することと仰っていました。自分と全員が同じ熱量で仕事をしているわけではないので当然求めるクオリティーにも差が出てきます。最大限までこだわりたいという人や仕事と割り切って完成を優先する人で一緒に仕事をすると衝突もあるそうです。しかし、そこのミスマッチにいちいち驚かないように人それぞれの熱量が違うことを理解することとその中で自分の強い気持ちを持って仕事に取り組むことを特に意識しているそうです。このミスマッチが原因で辞めた人もいるそうなので制作進行というたくさんのセクションの人と関わる仕事だからこそ人間関係の衝突が起きてしまうこともあるのかなと思いました。
そして、アニメ業界というのは横のつながりが強いので他社さんと敵対するようなことは絶対してはいけないと仰っていました。アニメのクレジットを見ればわかるようにその会社が作ったアニメの中にもたくさんの他社さんのアニメーターの名前が載っています。このように一つのアニメを作るのにたくさんの会社が協力して制作しているので他社さんと仲良くなることで人脈も増えて、制作も協力してもらえて一石二鳥だと感じました。横のつながりという意味でアニメ業界間での移動はネガティブなものではないとAさんは考えていて移動することで自分の担当したかったジャンルの作品ができたり、給料がアップしたりと他の業界とくらべて業界間の移動が多いそうです。また、アニメ製作委員会側ではアニメ部門に行くのが大変だそうですが、中途でアニメ制作出身の人が呼ばれるケースは意外にけっこうあるらしいです。
最後に
今回はいつもと趣向を変えてお届けしましたがいかがだったでしょうか?私自身も現在アニメ業界に就職を希望していたなかで、現場の方からアニメ業界について貴重なお話を聞けてとても参考になりました。特に心構えについては業界に飛び込む前に知れたのが良かったですね。これからもこういったアニメ業界で働く人のお話を聞く機会があればみなさんに共有していきたいと思います。私自身も聞いたことをアウトプットすることでさらに知識を付けていきたいと思います。それではまた!
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